第2回【私のこと】

ダメ男を引き寄せ(作り出し)てしまう人間には、それなりに共通する性格がある(と私は思う)。
それは、人の目を気にするタイプだったり、八方美人だったり。
空気読み過ぎちゃったり、人の何倍も傷つきやすかったり。

根本にあるのはきっと、『自分に対する自信のなさ』

きっかけは人それぞれだろうけど、育った環境の中で、何かしら「そうなってしまった」出来事があるのだろう。

じゃあ私がなぜダメ男を引き寄せる(作り出す)人間になってしまったのか。

それはきっと、子どもの頃に感じた『劣等感』なんだと思う。

私の生まれ育った環境は、特段不幸だったわけでも、親に恵まれなかったわけでもない。
むしろ両親のことは今でも尊敬しているし、ずっと仲良しだし、もちろん大好きだ。

自分で言うのもあれだけど、子どもの頃から親戚にも可愛がられ、チヤホヤされ、近所の人や幼稚園、小学校に上がっても「ぷりちゃんはかわいいねえ」と言われてきたし、そんな環境にも慣れていた。そしてその頃は、外ではとにかく人見知りで口数少ない子でもあった。

そんな人見知りで口数少ない子ども時代の私も、家の中では違う。
言いたいことは言うし、自分がこうと決めたら言うことをきかない、それに加えてあまのじゃくで親の前ではなかなか素直になれない二人姉妹の末っ子だった。
その点姉は、昔から正義感が強く、素直で、面倒見の良い『いいお姉ちゃん』だった。
『面倒見のいいお姉ちゃん』と『甘えっ子で我が強いぷりちゃん』の形が出来上がってしまった環境の中で、いつしか私は、小学校低学年ながらに(自分が姉の真似をしていい子でいることは恥ずかしい。私は姉とは違うんだから)と思うようになっていた。

それでももちろん親には褒められたいし、認められたい。だから私は、いつも姉とは別のところで親から褒められることで、それなりに承認欲求を満たしていた。
(例えば姉が無頓着な見た目や、運動能力、手先の器用さとかね)

家の手伝いや家事などは主に姉がやっていることが多かったので、私が手伝うと必要以上に親に褒められた。が、私はそれがいつもすごく恥ずかしかった。

(お姉ちゃんの真似してると思われたらどうしよう。お姉ちゃんの真似して褒められたいと思われたら恥ずかしい)

そんな感情が邪魔をして、いつの頃からか、食器洗いやちょっとした家の手伝いはあえて親が見ていないところでやるようになった。褒められないように。

そんなある日、親戚の新築お披露目会があり、家族みんなで遊びにいった。
年下の従姉妹たちも集まっており、私を含めた子どもは他の部屋で遊んで過ごした。
少しだけお姉さんだった姉は、大人たちの雑談の輪に混じって大人と同じつまみを食べていた。

トイレに行こうと大人たちが雑談をしている部屋の横を通った時、姉と私の名前が話に上っているのが聞こえた。
気になって聞き耳を立てていると、

叔母:お姉ちゃんはほんとになんでもできて偉いねぇ。家のお手伝いもするんでしょ?
姉:少しね
叔母:ぷりちゃんも一緒にやるの?
母:いやいやぷりちゃんは全然だめよ。お姉ちゃんと違って全然お手伝いはしないの。

‥ショックだった。今でもその光景を鮮明に思い出せるほどの衝撃だった。

確かに、家の手伝いをする時はあえて目立たないようにしていたのは自分。その場で褒められないようにしていたのも自分。
‥でもどこかで、お母さんはちゃんと見てくれてる、私も手伝ってるってきっと気付いてくれてる。そう期待していた。
自分勝手に、母は自分をわかってくれてる。そう信じていた。
そして自分勝手に、母に裏切られた気持ちになった。

(ああそうか、いくら頑張ってても私はお姉ちゃんの様には認められないんだ。私のことなんて、誰もわかってくれてなかったんだ。私はきっとお姉ちゃんの二の次なんだ)

今思えば、もしかしたらその後「でもぷりちゃんは他のことはすごいのよ」ってフォローしてくれていたかもしれないし、その場の空気に合わせて姉を立てただけかもしれない。


例えそうだったとしても、子どものころの私にはそんな事知る術もない。
『そんな小さなこと』かもしれないが、私の子ども心には間違いなく、その衝撃的な言葉が深く刻まれてしまった。
この先続く劣等感とともに。

きっとこの頃からだろう。
自分が認められるにはどうあればいいかを無意識に考え、空気を読んで、人の顔色を伺って過ごすようになったのは。


あ、最初に言ったけど、両親とは仲良しだし大好きよ。
ほんとはいつも私の事心配してくれてるのも知ってるし、大事に思ってくれてるのも知ってる。
私が離婚で苦しんでいた時、母が当の本人より眠れない夜を過ごしていたのも知ってる。
だから、私があの話聞いてたのよ~それで実はものすごく傷ついたのよ~ってのは一生言わない笑
そんな些細な事が私の劣等感のきっかけになったなんて知ったら多分、すごく責任感じちゃうから、そして後悔し続けちゃうから。

自分が親になって、もしかしたらこうだったのかな、ああだったのかなって思うこともあるけど、小さな心に一度抱いてしまった劣等感は、なかなか拭えないみたい。

あー親ってほんと、大変だよなぁ‥

おとなの婚活パーティーOTOCON