第8回【新たな出会い】

2022年7月17日

1回目の離婚後は、とりあえずは生活の基盤を作ることに専念した。

幸い慰謝料と養育費をもらっていたので生活に苦しむことはなかったが、それでも子どもを育てていくんだからそれなりにちゃんと一人でこの子と家計を支えていかなくては。

とはいえやっぱり小さい赤ちゃんを抱えての仕事探しってほんと難しい‥
親と離れて暮らす私は、
「お子さんが体調を崩したときに預けられる方はいますか?」
ほぼこの質問で落とされた。
親には帰ってきたらと言われたが、ここでもあまのじゃくを発揮して
「大丈夫!」
と強がった。
いや、でも町中知り合いくらいの田舎だし、あれこれ噂されるのが面倒だったのも事実。

生まれながらの恋愛体質(そんなわけあるか)であり、仕事探しに苦戦していた私は、早々に

(あー、だれか私をもらってくれないかなー)

なんて懲りずに思い始めていた。私も大概あまちゃんだな。

友達の紹介で、ちょっとお高めなクラブでホステスとして働き始めた私は、昼間は子どもとの時間を過ごし、夜は夜間保育に預けて生計を立てた。

その頃になると仕事以外でも出会いの場が増え、子どもが唯一の生きがいであった私に対し「子どものことも大事にする」と言って距離を縮めようとしてくるありがたい?男性もいた。

でもさすがにもう二度とあんな心がえぐれる思いはしたくない。浮気する男なんてごめんだ。
モテる男も口の上手い男ももう疲れた。イケメンなんてもってのほか。

早く私をもらって欲しいなんてあまちゃんな考えを持つ反面、実際は次に付き合う男性にはかなり慎重になっていた。

そんな中、新たな出会いは訪れた。

知り合いから誘われたお花見会に子どもと参加した私は、ある男性の隣に座った。
年下のその男性は、子連れの私を気遣い、少しでも私が楽しめるよう食べ物や飲み物をとってくれたり、子どもの相手をしてくれたりした。

(めっちゃいい人‥大学生かな)

スタイルはいいが決してイケメンでもなく、ちょっと人見知りなのか口数は少なめ、それでも私に気を遣ってか一生懸命話題を振ろうとする様子は決して悪い印象ではなかった。

私:なんかごめんね。ありがとう。
大学生:いえ!全然大丈夫です!こちらこそっ
私:いや私何もしてないけどw

そんなどこか気の抜けるようなやり取りは、久しぶりに私の心をほっとさせた。
その日はそのまま解散し、『なんか可愛い年下の大学生』くらいの感情しかなかった私は帰り際に「今日ありがとね!」とお礼だけ伝えて別れた。

数日後、次に彼と会ったのは知り合いからの連絡がきっかけだった。

知り合い:ぷりちゃんさ、ちょっと時間取れる日ある?何人かで飲み会やろうと思って。
私:飲み会かー、行きたいけど夜間保育に預けたタイミングじゃないと無理だから、仕事のあとの遅い時間しか行けないなぁ。お迎えあるからそんなに時間もないし‥
知り合い:いやそれでもいいよ!日にち合わせるから仕事終わったらちょっと顔出して!

正直、夜の仕事のあとは疲れてるし、お迎えも気になるし、あんまり乗り気にはなれなかった。
でもいつも断るのも悪いと思い、今回は顔を出すことにした。

当日、日付が変わった深夜だったが仕事終わりに言われた場所に顔を出すと、そこにはお花見会のときの彼の顔があった。

私:あれ、久しぶりだね~
大学生:お久しぶりです!

予想外の参加メンバーにちょっと驚いたが、わざわざ待ってもらったみんなへもお詫びをして少しだけその場を楽しむことにした。

そろそろ帰ろうかと席を立つと、その彼から声をかけられた。
「ぷりさん、連絡先交換してもらったりってできますか‥?あ、無理なら大丈夫です!!!」

聞いておきながらもちょっと遠慮気味のその言葉が、私にとってはなんだか新鮮でかわいかった。
特に断る理由もないし、私は彼と連絡先を交換した。

そしてそれをきっかけにその後、遠慮がちなのにどこか積極的な彼の変わったアプローチを受け、心動かされた私は彼が就職したのちに再婚することになる。

後日談、あの飲み会は実は彼が私に会いたいがばかりに知り合いに相談し開催されたものだと知ったときは、あまりの可愛さに〈私、年下の方があってるかもw〉なんて思ったりしたよね。

おとなの婚活パーティーOTOCON