第42回【私史上最低最悪なクズ~彼の行動編3~】

私が想像できる限りでは、彼は一度自分に背中を向けた女に対してわざわざ謝罪の言葉を発してくるような男ではない。

今まで付き合ってきた男であれば変な執着をされることがあったといえばあったし、こう言うのも想像できないわけじゃない。
けど、彼はそうじゃない。
彼のこのメッセージは、私にとってはかなりの意外性、というか驚き?‥があった。

まさか私が思ってた以上に打撃が大きくて我を見失った?笑
まぁそれはそれで予想以上の「してやったり」って感じだけど、真相はわからない。

とりあえず、なんか無視もできなくて

「気をつけて帰ってね」

とだけ返信して、すぐに返ってきた「はい」って言葉に既読だけつけてその日は眠りについた。
(あ、服とゲームは送りつけなきゃな)

そして次の日、一方的に荷物を送りつける以外はもう彼と連絡を取るつもりがない私は、
(さーこれから心機一転、フリーを楽しむぞーw)
とか思いながら、朝からいつも通り仕事に励んだ。

そしてちょっと遅めの昼休み。
携帯を開いた私は、彼からまたもメッセージが届いているのに気づいた。

その内容は、

「鍵どうしたらいい?」

あー、それな!すっかり忘れてたわ‥。

と思いつつ、我が子もスペアを持っている家の鍵を彼が原因で変えるわけにもいかないしなぁ、と思い、
「住所教えるから鍵だけ送って。そっちの荷物は送る」
と返信した。

そして返ってきたのは、

「鍵はなんか送るの怖いから今日直接渡したい」

‥‥うーん、私もう会う気ないんだけど‥

とは思ったんだけど、確かに常識のあまりない彼が家の鍵を書留とかで送ってくれる気はしないな‥。書留で送ってとか言ったら、どうやるの?とか聞いてきて無駄なやり取り増えそうだしな‥。

うーん‥。

迷いながらも、とりあえず、
「わかった。じゃあ仕事のあと鍵だけ受け取るね」

と返信した。

そのあと、後半の仕事をしながらも、
(彼にまた会ったらせっかく断ち切った気持ちに変化が出たり、流されちゃったりしたらどうしよう。せっかく清々しい気持ちになれてるのに、また嫌な思いをしたらすごく嫌‥)

そんな不安が時間とも共に大きくなって、やっぱり会うのやめよう、と思い直した私は、仕事終わりに彼にLINEをした。

「ごめん、やっぱり会えない」

すると、速攻彼からの電話が鳴った。(今までの彼にはありえない)

彼:え、なんで??
私:いや、ちょっと‥。ごめんだけど鍵は送って欲しい。
彼:え?もう他に男いるの??

いや、なんでやねん。


私:いや、そんなわけないじゃん。
彼:じゃあなんで??

私が会わない理由=他に男ができた の発想、どうなってんの‥。

私:あのさ、せっかく気持ち切り替えたのに、また会って嫌な気持ち思い出すのきついんだよね。それだけのことをしたんだよKは。
彼:‥ごめん。
私:だから鍵送って。

謝るんなら察してよ、って気持ちで拒否し続ける私。
‥でも彼も謎に譲らない。

彼:YouTubeのアカウントもM子と繋がってるからそれも消さないと。他に繋がってない証拠としてぷりの目の前でちゃんと消したい。
あと服もすぐ使いたいのある!

‥‥‥この人、こんな人だっけ?要するに、家に来たいって言ってるのね?

なんでこんなに必死なんだろ。
なんで今になってこんな感情見せてくるんだろ。

もうなんだか、見たことのない彼の様子に自分もなんでこんなに拒否してるんだっけ?って思い始めてしまった私。
結局、一緒に家まで行くことにした。

なんか、(本心はわからないけど)見たことのない感情を露わにする彼を見て、初めて自分が必要とされているように感じちゃったんだろうね。
つくづくバカな自分が嫌になる。

私、どうなるんだろ。

おとなの婚活パーティーOTOCON