第32回【私史上最低最悪なクズ~終わりの始まり?編~】

定期的に来るあのザワザワを感じたその日、彼は予告通り家へ帰った。

もともと浮気疑惑の絶えない彼なので、家に帰る日は彼がいま本当に家にいるのかなと毎回思いはするのだけれど、考えたところで何がどうなるわけでもない。
なんなら逐一どこで何をしてるのかなんて聞いたらどんどんウザい女になるだけで、私にとってはマイナスしかない。

なのだけど、あのザワザワがきてしまうと、どうしてもザワザワが気のせいであって欲しいと言う思いが強くなっちゃって。
黒だと心のどこかでわかっているのに、居ても立っても居られない私は嘘でもいいから大丈夫だという確信が欲しくて帰宅後に彼にLINEをした。

「いま家?」




その日、LINEは返ってこなかった。

(あー、やっぱLINEするんじゃなかった‥)

例えそれが嘘だとしても、「家にいるよ」の一言で自分を納得させようと思っていただけに、まさかその日返事が返ってこないとは思ってなかった私は自己嫌悪に陥りつつ、心は乱れた状態で、その日は眠れなかった。

わかってんのにほんとバカだなーーー私
‥‥てか、浮気すんならもっとうまいことやってくれないかな。心がもたないわ‥

翌日、彼はいつも通りウチに帰ってきたが、私はどうしても自分のモヤモヤをそのまま放置できなかった。
いつものように飲み込めば何事も起こらないんだろうこともわかっていたけど、それが正解だとも思わなかった。

それでも、なるべく波風立てないように聞こうと、

私:昨日返信ないから心配したよ?誰かと会ってるならそれでもいいけど、返信くらいして欲しかったなぁ

正直もっと強めに詰めたいところだったけど、私なりにいつもの感じで言ってみた。
でも、返ってきた言葉は

彼:Jさん(AV好きの例の女友達)とかと遊んでたよ。お前に言ったらめんどくさいから言わなかった。てか、詮索すんのとかやめれば?お前みたいに性格悪いやつ初めてみるわ」

‥え‥また?
私が言ったことってそんな性格悪く感じた?
いや性格悪いって判断基準、普通に違わない?

私:いや、Jさんと遊ばないでって言ったことないと思うよ?でも、昨日の朝からなんか隠されてんのかなって不安だったよ。Jさんと遊ぶならそう言ってくれるだけでも良かったよ‥。
彼:あー、だから嫌なんだよ!なんなんだよ!自己中もいい加減にしろ!ウザいんだよ!

確かに詮索しなくてもいいかもしれないけど、自分の不安をどうにかしたいって思っちゃだめだった?
私だって、たくさんたくさん我慢して、言葉も選んで、、、

その後も、伝えたいことも伝えられずに、私が言うことは全部ウザい、重い、最悪な性格、で片付けられ、もう、何を言っても私が最低な人間だと、私ほど自分勝手なやつはいないと罵倒され続けた。

(あー、だめだ‥呼吸が苦しい)

やばい、過呼吸になっちゃう‥

自分の体に異変を感じた私は、これ以上彼の言葉を聞いていると危険だと思って咄嗟に耳を塞いでしゃがみ込んだ。
「わかったごめんもうやめて‥」

彼は、最初こそ「ふざけんな、なんなのお前。わざとだろいい加減にしろ」と罵ったけど、流石に様子のおかしい私を見て態度を変えた。

正直なところ、私自身はあんまり覚えていないんだけど、その時は水を持ってきてくれたり、背中をさすってくれたりした。と思う。



少し時間が経って、幸い最悪の事態になることもなく落ち着いた私は、今自分に起きている問題がなんの解決もしていないまま先にベットに入った。
ベットに入ったあと、すぐに眠れるはずもなく、いろんなことが頭の中でぐるぐるしていた。

私の言ったことはそんなに否定されるようなことなんだろうか
自分の彼女が不安になるようなことを平気でできるどころか、女友達を庇うって、なんなんだろうか
てか、Jさんと本当に何もないなら、そんなに逆ギレする必要なくない?

そう思うと同時に、

私を罵倒してまでJさんと何もないって言うなら、その証拠が見たい。
それで何もないなら、自分の疑いや不安は晴れるわけだし。
もう、これ以上人格否定されるのは嫌だ、せめて女絡みだけでもはっきりさせたい。
私がここまで罵倒される必要が本当にあるのか、それを知りたい。

本当に自分の思い過ごしで、ただのメンヘラなら、自分の性格の問題点とちゃんと向き合おう。

そう思った私は、その夜、今まで自分の中で絶対にタブーだった、生まれて初めての行動に出た。

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